焼き嵌めの極意
締まり嵌めの重要性
回転機械の組立にて避けて通ることができない嵌め合いである焼き嵌めは慎重な作業が求められる重要な作業工程になります。適切な温度と加熱時間にて金属の原子間距離を広げることにより、内径を広げ通常では組立が不可能な公差での組立を可能とします。大型のギヤでは長時間の過熱が必要となる一方、小型のギアやベアリングでは短い加熱時間にて内径を広げ容易な組立が可能となります。


適切な焼き嵌め温度
焼き嵌めを行う際にまず第一に管理しなければならない要素は温度になります。適切な焼き嵌め温度は機械の性能に直結しており、温度を常に監視しながら加熱を行うことで金属組成の変形を極力防ぎながらギアやベアリングを軸へ挿入することができます。焼き嵌め中の温度管理は実態温度計、または非接触温度計を用いて行い適切な加熱温度に到達した後、寸法を確認し対象物への組込みを行います。


適切な冷却方法
軸にギヤやベアリングを焼き嵌め後、急激に温度を下げることにより強固な締まり嵌めを実現します。自然冷却、またはエアブローによる急冷など適切な冷却方法を用いて長時間、または短時間で冷却を行います。冷却方法の選定は作業工程を考慮に入れて選定しています。


焼き嵌めは機械整備の要
焼き嵌めにより2つの部品をしっかり締結することは、回転機械の整備の中で避けて通ることができません。適切な嵌め合になるよう部品の設計を行い、組立段階で適切な締め代にて部品同士をしっかりと終結します。どの機械要素にどの程度の締め代を適用するかは長い回転機械の整備経験から導きだされ、日々の整備に活用しています。