現場より緊急報告 地球深部探査船「ちきゅう」への技術招聘
先日の関東出張の帰り、東名高速道路から地球深部探査船「ちきゅう」を目撃しました。今回、偶然にもこの「ちきゅう」の船内で使用されている回転機械の技術指導の依頼を受け、現場へ急行しました
海底6,000mからのレアメタル掘削作業
JAMSTECの地球深部探査船「ちきゅう」は、南鳥島周辺において約6,000mの海底からレアメタル資源を掘削する能力を有しています。本船は様々な掘削機械によって構成されており、特に高さ約130mのデリックと呼ばれる大型タワーを使用し、海底へ向けてコアビットを送り込みながら掘削を行います。
船内には数多くの回転機械や補助機械が設置されており、それぞれが主機・補機として連携しながら、掘削作業の安定した運転を支える重要な役割を担っています。今回KBKエンジニアリングが招聘された理由は、掘削フロア下部で稼働する遠心分離機について、リバースエンジニアリングに関する技術指導の依頼を受けたためです。依頼を受け、現地へ急行しました


迅速検査と現場でできる最大限の対応
「ちきゅう」への入船には、様々な手続きが必要となります。今回、技術指導を求められた遠心分離機は船内の階下に設置されており、長年にわたり全体のオーバーホールが行われていない状態でした。特に固形側排出口に使用されているフィードポート部の摩耗が深刻であり、現場の機械を直接確認した結果、部品の再製作が必要であると判断するとともに、それに伴う遠心分離機全体の補修も必要となることが判明しました。
今回の訪船では、摩耗部の材質確認、遠心分離機本体の材質確認、さらに各機械部品の強度測定を実施しました。今後の補修方法やリバースエンジニアリングによる再製作について現場技術者と検討を行うとともに、現在実施できる最大限の現場対応について助言を行いました。暫定対策として実施していただくことで、次回の本格整備まで可能な限り機械の損傷進行を抑えられるよう対応しています


様々な機械を使用した掘削作業
欧州系の機械を多く採用して建造された地球深部探査船「ちきゅう」は、岡山県玉野市の三井造船玉野事業所において、三菱重工が全体の統括を行い造船されました。今回の訪船では船内を案内いただき、実際にヨーロッパ系の機械が数多く使用されていることを確認しました。デリックは大型の櫓構造となっており、海底から掘削・採取された粘土や地層試料を分析するための設備も備えられています。
また、掘削時に循環する掘削泥水は船内のタンクに貯留され、必要に応じて処理が行われます。遠心分離機による固液分離が必要と判断された場合には装置を稼働させ、泥水中に含まれる水分と固形物を分離する重要な役割を担っています


国家事業を陰から支える技術を社内に保有し、長年培ってきた機械整備とリバースエンジニアリングの知見を投入することで、レアメタル資源の掘削を支えています。金属を単なる鉄の塊として捉えるのではなく、なぜその材質が使用されているのかを機械の使用環境や要求性能から判断できる工学的知見を大切にしています。
日々の業務で使用している様々なレアメタル資源に対し、このような形で技術による恩返しができることを、会社として大きな誇りに感じています