ウォームギアのリバースエンジニアリング - KBKエンジニアリング

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ウォームギアのリバースエンジニアリング

多種多様な歯車の製作を日常的に行っていますが、今回はウォームホイールとウォームギアをリバースエンジニアリングにより製作を行ったので紹介します。

ウォーム

芋虫が這っているように動作するウォームは、モーターなどから入力されたねじりトルクがウォームを回転させることによるウォームホイールを回転させることにより、動力を伝達する役割を担っています。ウォームの最大の特徴であるセルフロックはウォームホイール側からウォームギアへの動力伝達が非常に難しい、これは他の種類の歯車と比較しても極めて高い高減速比によるものであり、バックラッシュも極めて低い値を示すからです。またウォームギアとウォームホイールを比較すると、その径の大きさの違いから歯面同士は線接触となり、これによりお互いの歯面の滑りが発生しやすいため、一歩間違えるとウォームギアとウォームホイールの焼付が発生します。これを防止するためウォームギアの材質は硬質系の炭素鋼や合金鋼を利用することがよくあります。

KBKエンジニアリングでは多くの歯車の製作経験から、使用される環境に合致しトラブルのおきない材質の選定に熱処理と表面処理を施し耐久性の高いギアの製作を行っています。

新品で2本製作しています。材質の検討と表面処理を追加しています

ウォームホイール

ウォームギアの回転力を受け回転させられる、ウォームホイールにより接続された軸へ動力を伝達します。ウォームギアの回転数に比べウォームホイール自身の回転数は少ない特徴があり、滑らかにそして静かに動作することが大きな特徴となります。ウォームギアの問題となる焼付きに対応するため、ウォームホイールは非鉄金属、主に銅系材料を利用して製作されます。また入力軸と出力軸は直交できるためハウジングの大きさをコンパクトにできる利点も存在します。

ウォームホイールは非鉄金属を利用する場合は潤滑油には特段の注意を払う必要があります。その理由は非鉄金属とオイルの相性によりウォームホイールの腐食が進行してしまう場合を過去経験しており、材質、熱処理だけではなく適切なオイルの選定も合わせて行っています。

潤滑油は適切なものを使用するように納品先に連絡しています

ウォームギア

ウォームギアとウォームホイールの対からなるこの歯車を同時に仕上げる必要があります。同時に製作された2つの製品は歯面合わせを行うことにより、高耐久性、低騒音、低摩擦など数多くの利点を得ることができます。歯面合わせは研磨、要は歯研を行うことにより可能となります。

このため多くの問い合わせでは、ウォームギアやウォームホイールだけの製作依頼を受けることがあります。別々に製作することは可能ではありますが、耐久性や寿命に関して大きな問題を持ったままの稼動となり、いつ故障してもおかしくない状態になると警告しています。

ウォームとウォームホイールはセットで製作します
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