バイオマス発電所の海外製ローターリーバルブ
環境にやさしいエネルギーへの転換が国を挙げて行われています。太陽光発電に始まり地熱、風力、そしてバイオマスと多くの地球にやさしい発電方法を日本は推し進めています。今回は中部地方と北陸地方の客先からバイオマス発電所で使用されているドイツ製 JAUDT Dosiertechnik Maschinenfabrik GmbH と フィンランド製 Raumaster のロータリーバルブの現地調査の依頼を受けたため紹介します
現地調査 愛知県バイオマス発電所
愛知県内に位置するバイオマス発電所にて稼働しているドイツ製 JAUDT社のロータリーバルブは2系統存在しており、フィーダーの真上に位置し一定量の木質フェレットとヤシ殻 PKSをフィーダーへと供給しています。今回愛知県のバイオマス発電所では木質フェレットを着火剤として利用し着火に成功した後PKSを投入し燃焼効率の高い発電を行えるように工夫していました。
今回相談されたドイツ製 JAUDT社のロータリーバルブはPKSを供給する際にローターとケースの間で噛み込みが発生してしまい安定的にPKSを供給できないためローターとケース間のクリアランスに問題があるのではないかと思われました。訪問したバイオマス発電所は稼働を開始してまだ数年と比較的新しく設備の老朽化もほぼないため、摩耗による軸端の振れやケース内径の偏摩耗による隙間の不均一、ベアリング部のフレッテイングや軸のオイルシール部の摩耗などの問題はないであろうと思われます。このため純粋にローターとケースの隙間に対して供給されるPKSの大きさが不均一のため隙間への噛み込みが起こるのではないかと思われます。
このローターとケースの隙間はボイラーからの逆火を防ぐ働きもあるため、単純に隙間を拡大すればよいわけではありません。軸の寸法精度、ベアリングハウジングの加工精度、またケース内径とローター外径の隙間の設定、ベーン自体の形状と様々な機械加工の精度の積み上げが安定的な稼働を決定する重要な指標となります。
今回は分解点検の前に現地でアドバイスを行い、また逆火を防止できるシステムの提案などを行い一旦様子を見て頂く対応を行います。


現地調査 福井県バイオマス発電所
愛知県内に位置するバイオマス発電所にて稼働しているフィンランド製 Raumaster社のロータリーバルブは3機が稼働しており定修期間中により現地での分解、内部点検が行われていました。今回確認できたローンマスター社製のロータリーバルブは大型の物になりフィーダーの真上に位置し木質材料をフィーダーへと供給しており内部にはフェノール樹脂系の確かベークライトと呼ばれる厚手の布のような物をベーンに固定し、これをケース内径に接触させること搬送を行っていました。このベークライトは柔らかい材料のため回転により発生するケース内径の摩耗を防止していました。
このベークライトを用いる方法は搬送物体の硬度が低い場合にはとても有効となり摩耗低減に絶大な効果を発揮します。メンテナンスフリーとはなりませんがベークライトの交換を行うことで羽根とケース内径の摩耗はほとんど起こりません。一方動力伝達部品である軸やベアリングハウジング、オイルシールなどは当然ながら交換や補修が必要となります。
3機の内2機は整備の必要はありませんでしたが、残りの1機は取り外しが非常に困難な場所に位置しており、アクセスポートから内部を確認したところ羽根の摩耗とケーシング内径の摩耗、そして投入口の摩耗が確認されました。このロータリーバルブは他の2機とは異なり搬送物がとても硬く回転により生じた摩耗が深刻な状況であることが確認できました。このロータリーバルブは現地で内部の摩耗具合がおおよそ検討され今までに整備をしてきたロータリーバルブと同様の整備手順をたどり出荷される見通しです。


海外製の大型ロータリーバルブの整備も可能
海外製ロータリーバルブは複雑な仕様と言葉の壁、交換部品の入手困難などの障壁により多くの整備会社で整備を断られることがよくあります。これらの障壁に関してKBKエンジニアリングは交換部品の手配を可能としており、現地メーカ担当者と直接交渉を行い部品の入手を可能としています。また長年の経験から機械工学の基礎知識を用いて整備を行っており、海外製の機械でも特に整備を断ることはありません。特にヨーロッパ製の機械はドイツの技術に深く影響されており、機械工学の基礎を忠実に再現しながら設計、製造されています。
これまで多くの海外製の機械の整備を経験しており、また社内に英語ができる人材もいるため、アメリカやヨーロッパ製の機械、特にドイツ、フィンランド、イタリア、フランスなどどの国の機械でも問題なく整備できる知見を有しています。


海外製ロータリーバルブの整備でお困りの方はお問合せください。