発電所の巨大タービンを見学
回転機械の中でもインフラを担う回転機械の代表格である発電所のタービンはその大きさと重要性から整備を実施できる企業は限られているのが現状です。今回は回転機械の整備を実施している会社の方の紹介により発電所のタービンを見学できましたので紹介します。
巨大タービン
数年に1度の間隔で定期整備が行われるタービンはその巨大さゆえに数か月の整備を要する重要設備です。今回見学をしたタービンは火力発電所で使用されており、タービンの中心から供給された水蒸気が回転するタービンブレードの間を通過し両方向へと排出されます。定格出力は75万kwとなり地域に電力を供給しています。
タービンブレードの間を通過する水蒸気は超純水からなりますが、やはり水中に溶け出しているシリカなどがブレードの表面に付着し腐食や摩耗の原因となるのは避けることができないようです。このためこのシリカの除去を行うのに多くの日数が必要となります。
2台のタービンを整備している光景は日頃整備を行っている機械と比べると大きさは雲泥の差です。汚れを避けるため布で覆われていると思われるベアリング部やタービンを支えている馬や巨大な軸の部分、そして両サイドに組込まれているスリーブの部分までこれまで整備してきた回転機械と全く同じ構成である一方それぞれの部品は大きさが桁違いであり整備する際の苦労がうかがえます。


巨大ハウジング
タービンも巨大なら当然ながらそれを取り囲むハウジングも巨大です。特に注目すべきはスタッドボルトの大きさです。これまで多くの機械の整備を行ってきましたが、これほどまでに巨大なスタッドボルトを見たことはありません。初めて見るその巨大さと数に度肝を抜かれました。大きさは推定でM100ほどはありそうです。
軸受けハウジング部も巨大でありおそらく通常のローラベアリングではないくブッシュやスラストベアリングを用いてると思われます。また機内部からの流出を妨げるラビリンスも利用されてるはずです。


巨大付帯設備
機械整備業をしていると、クレーンが吊れる最大重量がその工場で整備を行える機械の大きさの一つの目安となります。今回見学をした発電所のクレーンでは75t/35t/5tの重量まで対応していました。日常の整備では15tまでのクレーンはよく見ますが、75t/35tクレーンを見ることはほとんどありません。クレーンは1機しかないため、吊り治具を使用してタービンをハウジング内に組込むと思います。
整備のために巨大部品の周りにも足場が組まれており各部品の一つ一つの大きさが想像できます。
今回は電力会社へ減速機の引取りを行った際に偶然タービン整備の現場を見させて頂きました。タービンブレードの3Dスキャンなど間接的にタービンの部品の補修や測定を行ったことはありますが、タービン自身の整備を行ったことはありません。
今回近くで見学できたことはとても貴重な経験であり、いつか機会が訪れ技術、そして技能ともに準備ができた時にはタービンの整備の受けてみたいと思う良い機会となりました。

