ルーツブロワインペラの性能回復補修 - KBKエンジニアリング

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ルーツブロワインペラの性能回復補修

インペラの回転により負圧や陽圧を作り出すルーツブロワの性能はインペラとケースの隙間、またインペラ同士の隙間が大変重要になります。特に引誘ラインに用いられるブロワでは雰囲気中に含まれる酸性ガスの影響による腐食により隙間の維持が難しくなり、ブロワの性能低下を招くことを多く経験しています。

性能回復を視野に入れた整備

腐食性ガスに常にさらされ続けるインペラとケーシング内面はたとえ高耐腐食性材料で製作されていても腐食による減肉を免れることはできません。今回整備を依頼されたルーツブロワは減肉が進行しており本来必要とすべき性能を発揮できていませんでした。

必要ヵ所の洗浄を実施し購入当初に近い性能に近づけるよう必要ヵ所の寸法測定を行います。外観からの判断ではかなり過酷な環境で動作していた様子が伺えます。外観の腐食具合から内部はかなりの腐食と摩耗の状態であると推測し分解を開始します。

外観から内部のひどい腐食が想定されます


デジタル測定とアナログ測定の合わせ技

寸法測定の基本はアナログの各測定器を用いて行うのが基本である。これはどのように複雑な形状など多くの制約条件の中でさえ正確な寸法を導き出す技能的側面を持ちます。しかしながら複雑形状の成形を可能とする鋳造品の寸法測定は困難を極めます。

これに対応する新たな寸法測定方法として、レーザーを用いた3Dレーザー測定を実施しています。この3Dレーザー測定は複雑形状の測定を可能としており、鋳造品のような曲面を持つ製品の寸法測定を可能としています。今回はこの3Dレーザーの力を借り、寸法測定が難しいインペラ曲面部分の寸法測定を可能としています。

3次元測定によりルーツ羽の全容を捉えます

性能回復から組立、そして出荷へ

インペラの性能に直結するケースとインペラの隙間、インペラ同士の隙間を適正に確保する方法としてインペラ全域、ケーシング内径全域への表面処理を実施しています。今回のブロワは硫酸系のガスを吸引しておりブロワ機内は常に過酷な環境になります。このためこれ以上腐食が進行しないように対策を行い、さらに隙間を狭するには表面処理をブロワ機内に施すことが適切であると判断しました。

ブロワケーシング内径へ表面処理を実施


この表面処理を実施後、組立と適切な隙間調整を行い出荷を行いました。客先から後日報告があり性能が回復し吸引力が改善されたとの連絡があり一定の効果があることを確認しています。

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