ルーツブロワインペラ動バランス調整
動バランス調整とは高速回転する物体のアンバランス量を極力少なくする行為です。このアンバランス量は組立時の芯のずれ、摩耗やひずみによる変形、材料の不均一など多くの外的要因に影響された結果となります。今回は国内最大、最長で重量級となる2翼インペラの動バランス修正を実施しました。
事前準備
動バランス調整を行う対象物は、事前に直径と重量を測定しておかなければなりません。今回測定を行うインペラも同様にこれらの事前測定を行います。重量の測定はクレーンスケールを利用して行い、直径の測定は図面を正としますが、図面が手に入らない場合には実測により行います。
今回の重量を初めて測定しましたが、両インペラとも1300kg以上あり日頃整備を行っているインペラとは比べ物にならないほど重たいことが分かりました。
これらインペラを動バランス調整を実施する工場へと運搬を行います。


動バランス調整
このルーツの整備の歴史の中で今回初めて動バランス調整を行います。通常は丸物が多い回転機械の中でルーツは太鼓型と呼ばれる独特の形をしています。この大型のインペラが回転する光景は、丸物が回転しているのとは異なり異質な光景です。
今回は従動、駆動側2つのインペラの動バランス調整を実施しました。このルーツは海外製のため生産国の規格でアンバランス量を調整しているはずですが、JIS規格基準で考えた場合には、基準値をほんの少しだけ外れていることが分かりました。しかしながら長年使用しており随所に多くの摩耗が見受けられたため、経年劣化によるアンバランスが発生しているとの結論となりました。
今回アンバランスが発生しているインペラに対してはバランス調整を行い、JIS規格での適切な動バランス量になるように必要ヵ所へ追加工を実施した対応となります。今回は動バランス調整の工程は指導者として立ち合いアンバランス量を打ち消すように指示を行い、適切なG等級へと調整を完了しました。


適切な治具の設計
動バランス調整を行うにあたりモーターからインペラへの回転力を伝えるカップリングの製作が必要となります。このカップリングは製品の重量や回転速度、軸の太さなどを考慮しながら設計を行います。
カップリングの穴とインペラの軸の締め代は軸のインペラの重さに左右されます。公差を緩くするか、逆にきつくするかは長年の経験が頼りなるため場数をこなしながら慣れていくしかありません。

