巨大ルーツブロワインペラのリップ摩耗補修 - KBKエンジニアリング

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巨大ルーツブロワインペラのリップ摩耗補修

日本最大のインペラ補修

巨大システムに組込まれているルーツブロワは国内ポンプメーカの製品が多く利用されています。様々なプラントメーカーが国内ポンプメーカのルーツブロワを利用する中、ある会社は海外製のルーツブロワを使用しており、これは日本で稼働するルーツブロワの中でも最大、最長サイズであることは確認済みです。高さは3m以上、横幅は4m以上ありKBKエンジニアリングが整備を行う機械の中でも指折りの大きさであることは間違いありません。

今回はこのルーツブロワに組込まれている2翼の羽根の補修を行いました。

1.3tのインペラを10tクレーンでトラックへ移動しています
補修工場へ運びます

オイルシールの重要性

整備を行うルーツブロワの総重量は12tを超えており、この重量の大部分は2本のインペラに割り振られています。この2本のインペラは大量の空気の送風や吸引に利用され、その左右にはモーターからの駆動力を伝達するための軸が挿入されています。今回の分解整備では、機内とベアリングハウジングの間に位置するオイルシールにより形成されたリップ摩耗が2か所で確認されました。このオイルシールは24時間365日稼働を行うルーツブロワの中でも特に過酷な環境にさらされ続ける部品の一つになります。回転機械の整備でよくみられるリップ摩耗はベアリングハウジング内に充填されているオイルが機内への侵入を防ぐ働きをする一方、軸とオイルシールのリップ部は常に接触しており止まることのない回転により、軸を徐々に削りリップ摩耗と呼ばれる状態を形成します。

今回の軸もこれまでの整備と同様に大変深刻なリップ摩耗を形成しており、軸の補修が必要であることが分解調査により判明しました。

基準棒を使いトレーサによるゼロ点確認を実施します
オイルシール部にリップ摩耗が見られます

工期を考慮したインペラ補修

軸付きインペラのL寸は3mを超えており、補修工場への輸送に大変神経を使う作業となります。とにかく桁外れの大きさ故、これまで行ってきた部品単体の補修とは異なり大型旋盤を利用し数日の工期で補修を完成させる計画で実施しました。補修が必要となる部分はあまり大きくはありませんが、軸を取り外す労力と軸付きで補修するとのでは、軸付きで補修する方が工期的に短く作業者の疲労度も違ってくるため、軸付きでの補修を選択しました。

25tクレーンにて1.3tのインペラを設備近くへ移動します
適切な補修にてシール部からの漏れを防ぎます

このように分解調査の後、組立出荷を考慮した補修方法を提案でき一時的な延命から恒久対策まで幅広い補修方法を納期に合わせた工期で提供します。

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