超巨大スリーブ製作
KBKエンジニアリングは機械整備を生業とした会社ですが、これ以外にも部品の製作も行っており、今回は超巨大スリーブの製作を行いました。スリーブは袖と言う意味ですが、軸などによく使用されています。今回は図面がない状態から製作を行いました。
使用環境と軸の状態を考慮した設計
スリーブ自体は単純な筒状の形状をしており、オイルシールなどの接液部によく使用されている部品です。今回はΦ400の軸に対して外径がΦ500のスリーブを製作し軸を接液から守ります。このクラスのスリーブを製作することはよくあることですが、今回は厚みが片肉で10tほどあり、長さが500Lのためスリーブ内径の逃がしの割合を計算し適切な逃がしの寸法に設定しました。
図面はSolid Works上でモデルを製作しモデルから締め代を考慮し適切な逃がしの寸法と締め代を再度確認していきます。またスリーブの相手は今回はグランドパッキンのため旋盤か研磨仕上かを考え、最後に表面処理を考慮しながら各工程での寸法を決定していきます。
今回のスリーブは質量が200kg程あるため、施工方法も合わせて検討が必要となります。

加工方法の検討
今回のスリーブは薄物+L寸があるため、適切な加工方法を行う必要があります。旋盤でチャッキングし加工しただけではおそらく楕円状になるため精度が出せない可能性があり異なる加工方法を考案する必要がありました。
薄物でL寸がある場合には通常の加工では精度を出すことが大変難しいため、特殊な加工を行い変形を抑制しなければなりません。この加工方法のノウハウにより精度を担保しています。今回のスリーブは重量があるため軸へ挿入する際もクレーンで吊り上げた状態から、真下に下げることにより挿入することにしました。このためタップ穴の施工が必要となるも、スリーブを装着した軸をグランドパッキン部へ挿入するに際し適切な面取りが必要となるため、タップ穴と干渉がないかどうかの検討が再度必要となります。

部品製作から組込みまでをカバー
スリーブに代表される各部品の製作は当然の如く行っており、さらには製作した部品の組込みまでを行っています。未知の部品に対しても工学的視点から検討を行っており、材質の検討、機械加工方法の検討、使用環境を考慮した耐久性の向上が可能となる設計、そして組込みの際の手間を省いた改善まで幅広く対応しています。特に旧JISに沿って製作された部品や技術の進歩により出現した高耐久性の材料を使用した部品の製作などこれまでの経験に工学的視点を加え長持ちする部品の製作を行っています。
今回のスリーブは短納期を希望されていたため市場流通性の高い材料と加工を行い、スリーブの相手を考慮した嵌め合い公差の設定を行い組込みを行いました。

今回の軸は2600kgあり運搬と組込時にとても神経を使いました。短納期対応のため、様々な苦労がありどうにかスリーブを嵌め込みました。丁寧で精度の高いスリーブの製作と組込を行うことができ依頼元も大変助かりましたと納品後にご連絡がありました。
KBKエンジニアリングでは各部品の製作を工学的視点を大事にしながら製作を行っています。図面がある場合、図面がない場合どちらの場合でも製作が可能です。ただ部品を製作するのではなく工学的に裏付けされた方法で部品の製作から組込みまでに対応可能です。