イタリア製減速機の整備 - KBKエンジニアリング

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イタリア製減速機の整備

2025年の年明け客先から工場で使用しているイタリア製減速機の調子が悪いとの連絡が入りました。営業は即客先へ向かい不具合状況の確認、納期、整備の段取りの打ち合わせを行い工場へと運び込みました。今回はこのイタリア製の減速機の整備の流れを現場から紹介します。

入荷から分解

減速機を積んだトラックが工場内に入りトラックの上からクレーンを使用し工場の床へと減速機を降ろします。工場の床に置いた後、営業担当者から故障の状況、納期や整備の進め方について打ち合わせを行い整備で必要となる情報の伝達が行われます。

減速機の状況を確認しながら必要となる工具、道具、作業環境の準備を行い分解を開始します。分解はまず減速機の故障状況の把握を測定器を用いて行います。その後ナット、ボルトなどを取外しクレーンんで上部のカバーやギアなどを取り外します。

工具や道後の名前、クレーンの使い方、物の移動方法、故障状況の診断方法これら整備に必要となる技術はその都度説明を行います。繰り返し説明を行い、そして繰り返し似た機械の作業を行う中で徐々に入荷から分解までの作業に慣れて1人で作業を行うことができるようになります。

クレーンを使用しカバーを取り外した直後の様子を示す

洗浄作業

分解後の機械は外部と内部がとても汚れています。機械内部は潤滑油で汚れ、また機械外部は鉄粉やほこりなどに過酷な状況になります。洗浄作業はこれらの汚れを除去することにより機械の内部と外部の汚れを落とし正確な現在の寸法を知るために必要となる作業です。

汚れを除去する作業は高圧洗浄機、適切な洗浄剤、そして工具や道具を使用して洗浄を行います。小物については溶剤系の洗浄液を使用することもあります。

今回の減速機は比較的汚れが取れやすかったです。減速機内部は油を除去した後高圧洗浄で内部の汚れを洗浄しウエスで水分を除去しました。減速機は3部品で構成されており、左右のカバーはそれぞれ1時間ほどで洗浄が完了しました。高圧洗浄のおかげで今回の洗浄は比較的楽に行えたと思います。

このように洗浄作業は大変な作業であるとの認識が社内での共通認識です。作業スピードは大変な作業のためゆっくりとなります。作業者側は楽に、そして丁寧に洗浄を行える様に配慮がなされています。

洗浄作業は機械の仕組みや各部品の働き、壊れやすい部品の理解など多くの事を知ることができる機会であると思います。

洗浄後の減速機内部の状態

必要修理部品調査

ばらばらに分解された機械部品の寸法を測定する器具を使用して測定を行います。髪の毛1本分の細かい寸法から紙1枚分の厚さが測定できる機器まで様々な測定器を使いこなします。測定を行うのに必要となる部品は営業からの指示書に沿って行われるため心配はありません。

測定に使用する機器は多種多様に及ぶため使い方に慣れるまでは時間が必要となります。マイクロメーターやノギス、そしてシリンダーゲージに至るまで多くの測定器が工場内にあります。

今回整備をする減速機は3回目の整備になるため測定に関して何も心配はありませんでした。一方、初めて整備を行う機械の場合には、営業側も警戒しており、現場と営業が共に分解した部品の寸法測定を行うようにしてあります。1人で慌てふためくことがないのでこの点は安心しています。

アナログの測定器でだけではなくデジタルの測定器も使用します

組立

分解、洗浄、そして寸法測定で得られた情報を元に報告書を作成します。この報告書へ現在の機械の問題点や補修を行うべき部品などの情報が記載されます。補修が必要となった部品は一定の期間で補修されます。部品の補修が完了後、受入検査を行い営業が指示した内容に従い補修が行われているかの確認を行います。この受入検査の段階で記録は書類へと記載され後の組立や客先からの問い合わせの際に利用されます。

PT検査と呼ばれるクラックの確認を実施しています

今回は入荷から補修までの作業内容を紹介しました。ここでは機械を整備の仕事内容のほんの一部を紹介しました。簡単な機械から難しい機械まで世界中には様々な機械が仕事をして私たちの生活を陰に日向に支えてくれています。これらの機械がトラブルなく稼働できるよう技術者は陰から静かにサポートしています。

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