振動を発生させる加振機の整備 - KBKエンジニアリング

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振動を発生させる加振機の整備

回転機械は構成する軸受などの部品を長く使用できるようにするため、回転運動によって発生する振動を抑えることが一般的です。整備工程に動バランス修正を行うことで、長期間安定した稼働を維持しています。ところが、中にはわざと振動を起こして製品を運ぶ振動機といわれる機械もあり、今回はその整備について紹介します。

加振機を分解して点検

加振機分解前
これから分解していきます
加振機上蓋開放
一見するときれいです。オイルの濁りや、水が混入した形跡などもありません

蓋を開けた限りでは、特に異常な部分はみられませんでした。さらに各部品の分解を進めます

加振機軸引き抜き
黒く見えているのが軸受が摩耗して粉状になったものです
ケース軸受外輪
ケースの外輪嵌め合いの部分も焼けていますが摩耗はそれ程進んでいませんでした
加振機軸の状態
検査すると軸先端部に腐食と寸法の不良がみられます。ここは補修が必要と判断しました
アンバランスウェイトの内径部も検査しました。このウェイトにより機械全体が振動するので、負荷で隙間腐食がみられます

不良部分がみられた部品の補修

振動を起こすことが目的の機械の特性と、部品検査から得られた嵌め合い部の負荷状況を総合的に判断して補修方法を検討しました。メッキによる補修と溶接肉盛りによる補修が最も効果的と考え、それぞれの部品に補修を施工しました。

加振機補修した軸
光っている部分が補修したところです。部品の特性を考慮して補修範囲を決めました
加振機アンバランスウェイト補修
負荷がかかる部分から、あまり使用しない修理方法を選択して補修しました

補修後の組立

加振機組立1
歯車を取り付けて固定しています
加振機組立2
ギアの固定が完了してこれからケースに入れます
加振機組立3
ケースに入りました。合わせ面に液状パッキンを塗布してから、蓋を取り付けます
蓋の取り付けが完了して、上部の部品を所定の位置に入れています
加振機組立5
プーリーを取り付けた後、塗装してから整備が完了したところです

特殊用途機械にも適切な補修を行っています

本来なら振動を抑制することで長期の安定稼働を目指すこと多いですが、今回は意図的に振動を起こさせる機械の整備を紹介しました。嵌め合い部に対してもその特性を考慮した補修を行うことで、常時振動を発生させるような機械でも、安定した操業を可能にすることができます。

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